感想 ウルトラマンブレーザー 第11話「エスケープ」 - 破滅を招く者、宇宙より -
-
空色カラス
■ウルトラマンブレーザー
第11話「エスケープ」[2023年9月23日放送]
脚本:足木淳一郎 監督:武居正能
最近、暇があるとガラモンのソフビと、東京タワーのミニチュアを並べて遊んでます。仕事から疲れて家に帰っても、「家に帰ればガラモンいるしなあ」って思えますし。嫌なことを言われたとしても、「そんなこと言っていいのか?俺の家にはガラモンがいるんだぞ?ガラモンだぞ。ガラダマモンスターぞ。」と思えるのは強いですね。ペットかよ。それはともかくとして、やっぱり好きな怪獣のソフビが発売されるのって嬉しいなって改めて思いましたね。
子供の頃は、あまり怪獣ソフビ買ってもらえなかったというか。玩具を買ってもらえる機会というが、基本誕生日とクリスマスのみで。無理言って買ってもらった際には、誕生日かクリスマスのプレゼントを前借りというかたちなってしまうので、よく吟味する必要があったのと、どちらの機会においても、1回の機会に1個までというルールもあって。
玩具の中では比較的安価な怪獣ソフビよりは、より高価なロボットアニメのロボット玩具とか、車のラジコンとか、ヒーロー作品の武器玩具とかを買ってもらった方がいいんじゃないかと。そうやって思うと、打算的というか、可愛げのない子供だったなって。
お小遣いも決してたくさん貰えてた訳では無いし、誕生日とクリスマス以外で玩具欲しかったら、自分でこつこつお小遣いを貯めて買いなさいという方針でしたし。世の中お菓子とか誘惑も多いので、ソフビに回す余裕はやはりなくて。ウルトラマンのソフビも、レオとグレートくらいしか持てなかったなあ、と。小学4年か、5年生のときに家の建て直しがあって、その際に幼い頃の玩具は処分されてしまったので、それらも今や手元にないですが。
子供の頃手に入らなかった反動も勿論あるんですが、安価なソフビであれば、毎月少しの余裕を作れば全然買える。悩まなくていい。というのは強いですね。増えると置き場も大事になってきますが、タグを切らなければフックを流用できるので、部屋のいたるところに引っ掛けて飾れるのも強みですね。ちょっと本棚の空きスペースに置くのもありだなとか。
前々から、レイモンド・チャンドラーの本の棚に、怪獣のチャンドラーを置きたいとか考えてるんですが、それを実現させて、「こいつは何をやっているのだ?」と、自己嫌悪に陥らないか心配でなかなか実現できてないのがアレですね。
でも、なんかテーマ性のある棚とか作りたいですよね。ジオラマじゃないですけど。
『ウルトラマンデッカー』の武居正能監督と、足木淳一郎先生コンビが手掛ける第11話。と、言っても武居監督は、『デッカー』のときにはもうひとりのシリーズ構成の根元先生と組んでたから、足木先生とは組んでなくて。それこそ、この2人が組むのって、もしや『ウルトラマンオーブ』第13話「心の大掃除」以来?そうやって思うと、なんか新鮮な感じしますね。
それはそれとして、『ウルトラマンブレーザー』も恐怖の円盤生物シリーズへ!エンディングテーマの『BLACK STAR』ってそういうことだったんですね……って、そんなはずもなくてですね。でも、宇宙からとんでもなくヤバいヤツが飛来してくるって、なんでこんなにワクワクしてくるんでしょうね。『ウルトラマンレオ』の再放送で円盤生物の襲来と、『ウルトラマンG』のリアルタイム世代で、シラリーの降臨を目撃しているのもあるんでしょうかね。
ガラモンを載せたガラダマの侵入を許してしまったがゆえに、より強い警戒態勢をはって迎撃していたのにもかかわらず、電磁パルスによってすべての攻撃を寄せ付けない謎の隕石の地球侵入を許してしまい、その隕石が実は宇宙からやってきたとんでもない怪獣で……。って、こんなにワクワクしてくるシチュエーションもないですね。
そんな中で、自分の中にあるもうひとつの意思。自分の行動に反発するブレーザーの意思に困惑し、疑念をふくらませるゲント隊長。ウルトラマンとの意思の疎通が出来てないからこそ、自分の思惑と異なる動きに疑いを持ってしまうというのは、これまでなかったパターンで、新鮮ですね。こういうシチュエーションを観ると、やっと『ウルトラマンブレーザー』らしさに火がついてきたありますね。
ウルトラマンと、変身者。それぞれ違う人格があり、考えが異なるがゆえに意見が対立するというシチュエーションは、それこそ『ウルトラマンG』の頃からしてありましたけれども。意見の対立があっても、人間社会ではジャックの意見を尊重し、怪獣退治においてはグレートの意見を尊重し、更に強大な相手には力を合わせて立ち向かえたのは、意思の疎通が可能だったからというのもあるんだろうな、と。
ブレーザーが何を考えて、何故力を貸してくれるのか。本当に心をひとつにできたときに、きっと知ることが出来るんでしょうけれど。現状のゲント隊長にそれを知る手段はない。ゆえに、疑念を抱かざるを得ない。そういう硬派なドラマを展開するときに、武居監督を当番に選んだのはナイスな采配じゃないかと言わざるを得ないというか。
運命共同体であればこそ、幾多の疑いを重ねて、厚い信頼を築いていく。バディものの鉄板ですよね。他者のことを、いきなりすべて信じられるなんて、あり得ないですし。その辺りをメチャクチャ丁寧に描いてくださって、有り難い限りでした。
ブレーザーとゲント隊長の関係性は、ふたりを繋ぐただひとつの使命がなんとかしてくれるにしても、あのテルアキ副隊長にして、「我々の味方とは限らなくなってきたな」とか、ブレーザーへの疑念を持ち始めてる状況。あからさまに防衛隊の作戦を妨害してますしね。
第一にテルアキ副隊長がそういう姿勢でブレーザーを観てくれたのは逆に嬉しかったですけどね。これまでは”味方”として判断してきてたんだな、というのもそうですけど。作戦立案などを行うテルアキ副隊長はあらゆる可能性を考慮してこそというか。
「SKaRDとしてはブレーザーが現れたとき、味方と認識しますか?」というテルアキ副隊長の問いに、「まあ、様子見だな」と煮えきらない態度を取るゲント隊長のらしくなさには、みんな困惑してましたが。特に、エミ隊員は眉をひそめてましたしね。ここまではっきりしてないゲント隊長も珍しいですしね。
確かに、自分の中にいることは認識できるものの、意思など何も分からない相手に対しての、隠せないほどの戸惑いを覚え、思わずアンリ隊員に相談しそうになって留まったり、どう向き合えばいいのか分からなくなっている。
そんなときに確かなことは何も言えないのは当然で。こんな弱気のゲント隊長も珍しいですけどね。如何なるときも前に進む隊長だから余計に。こういう『ウルトラマンブレーザー』の独自性のあるドラマ展開は、より作品を魅力的にしてくれますね。
話せる相手なら話せばいい訳ですし。話せる相手ではないからこそ、拗れる訳で。そして、ゲント隊長を襲う孤独。なんやかんやで相談相手やバディがいるケースが多かったニュージェネウルトラマンと思うと、隊長であるがゆえに誰にも相談できない。家族にも相談できない。珍しいタイプの孤独を抱えてますよね。ゲント隊長。ウルトラマンご本人様が背負う孤独とも違うし、ウルトラマンと共生する融合タイプの人たちが背負う孤独とも違うし。
それにしても、射撃による迎撃作戦で、アースガロンの操縦士がアンリ隊員って意外だなあと思いましたが、その後の迎撃に失敗した際の近接戦闘を想定しての采配だったんだなあ、と。
それにしても、収束モードの多目的レーザーで隕石を狙う際の、「プレッシャーかける訳じゃないけど……はずすなよ!」というゲント隊長に、「しっかり、プレッシャーかけていただいて、有難うございます!」と笑顔で応えるアンリ隊員のやりとりよかったですね。それまで険しい顔してたアンリ隊員が、前向きな表情になるのがとてもよかったです。あのくだりは、今回のベストシーンですね。
とはいえ、ハルノ参謀長指揮の下、密かに建造された地球防衛隊の秘密兵器アースガロンが、もはや防衛隊の一大作戦の足止め要員としてしか扱われてない状況はどう見ればいいんでしょうかね。アースガロンでは怪獣は倒せない。そう見られてる?
一応、宇宙怪獣想定で作戦が組まれているとはいえ、隕石がレーザーを避けるわ、いきなり減速して着陸するわ。とか吃驚しますよね。そして、開かれる隕石。本来ならば顔のあるべきところに顔がなく、土手っ腹に顔があって、無機質にリレー発光する謎の発光器官があって……あからさまに地球の生き物感ゼロの宇宙怪獣、いいですねえ。寧ろ、機械的で、生物兵器感すらあるというか。誰かに送られてきたか?黒幕的な誰かに……?
CQCモードのアースガロンの格闘攻撃になすすべもなくという感じで、間合いに入ってしまえば思ったより大したことないのか?と思えば、いきなりの電磁攻撃で間合いを開けられ、更に電磁パルス(EMP)であらゆる攻撃を遮断。アースガロンさえも、EMPの中に巻き込み、機能停止に追い込むという。機械的な道具に頼ることでしか戦えない。或いは生きていけない人間からすれば、EMPとか脅威中の脅威ですよね。迫ってくるEMPの波に飲まれないように、必死に逃げようとするアースガロンの場面は手に汗握りましたね。

なにかの電気信号みたいなゲバルガの鳴き声が響く中、ゲント隊長とアンリの安否を気遣って、必死にSKaRD MOPから通信を送るテルアキ隊長かっこよかったですね。アースガロンがEMPを浴びて全システムダウンだけならばまだしも、水深不明の湖に落下してますからね。アースガロンのダメージ状況によっては、搭乗者の溺死も考えうるパターンですし。なかなか緊張感を煽る場面でした。
機能停止状態のアースガロンの中で目覚めるゲント隊長と、気絶したままのアンリ隊員。前にもこんなシチュエーションあったような……?下手にコックピットハッチ開けたら、湖の水が一気にコックピットに流れ込むだけに、首裏の緊急起動装置を起動させに行けない。さて、どうする?すると、作戦を必死に考えるゲント隊長の左腕にブレス出現。
「この状況じゃ、これしかないか……」と、なんかブレーザーの力を頼ること自体が、苦肉の策みたいになってるのがなんともで。頼っていい相手なのかどうなのか分からないけど、今打てる手がそれしかない以上、という感じですかね。
そして、登場。我らのウルトラマンブレーザー。急降下キックからの祈祷ポーズがとてもかっこよかったですね。やはり岩田さんは蹴りのフォームがかっこいいんだ。『ウルトラマンギンガS』のウルトラマンビクトリーの頃からして、蹴りが冴えてる感じでしたけれども。ブレーザーの蹴りはホントかっこいいですよ。うん。
しかし、このゲバルガ、ブレーザーの格闘攻撃をものともせず。更に、隕石形態で電磁攻撃をまといながらの回転体当たりで、ブレーザーを圧倒。電磁シールドで飛び道具系はすべて弾く。勝ち目あるんでしょうか?ってくらい攻防一体の隙のない怪獣でどうしたものか。
更には、必殺のスパイラルバレードも、電磁シールドによって完全に打ち砕かれる始末。光線系の必殺技だったら、シールドを砕くまで撃ち続けるという方法もあったでしょうが、投擲技だと投げたものを砕かれたり、焼かれたりするとそこで終了。相手に届かないというのは結構痛いですよね。それでいて、投擲したあとの無防備なブレーザーに雷撃をかましてくるという。
カラータイマーが悲鳴をあげ、限界間近ながらも、それでも立ち上がり、ゲバルガの前に立ちふさがるのはゲント隊長の闘志ゆえか。自分の命を軽視している訳でははないのだろうが、誰かを守ることとなると自分の命より優先するものがあるとして向かってしまうところはゲント隊長そのものというか。
前回と今回の一件で、変身時にどこまでゲント隊長の意思で動いてて、どこまでブレーザーの意思で動いているのか、余計に分からなくなったけれども、ここの動きは或いは……みたいな推測は出来るようになったかも。にしても、フラフラな身体を必死に起こして、ファイティングポーズを取り直す姿はメチャクチャかっこいいッスね……
ただ、立ち向かおうとするゲントの意思に反して、ブレーザーは突然自分の右腕を掴み、まるで転がってくるゲバルガから逃げろと言わんばかりに横に引っ張ってこれを回避。まさかブレーザーの意思が、ゲント隊長を庇った?
突然の左手の暴走に困惑するブレーザー。この困惑してるのはゲント隊長だな、と分かる訳ですが。このとき、ゲント隊長はある瞬間のことを思い出す。ゲバルガがEMPを放たんと電磁エネルギーをチャージしてたときのこと。「今すぐ離脱しろ!いいから反転だ!全速離脱!」と、アンリ隊員に命令をするところ。
嫌な予感がするにしても、このときのゲント隊長は異様に感情的だなと思っていたら、まさかゲント隊長の身体を通して、ブレーザーが命令を下していた? あそこでブレーザーの顔が、ゲント隊長に重なるのはそういう演出ですよね?となると、ブレーザー、言葉喋れたんですね。
というか、いつぞやのインナースペースの中での対話で、ゲント隊長の言葉を理解してただけに、肉体の制御が出来ればといったところでしょうか。しかし、驚きの描写です。それを思うと、これまでのゲント隊長もどこまでゲント隊長の意思で喋ってたのか……?
我に返ったブレーザーは、今一度光の槍を抜き、スパイラルバレードを……。投げる一瞬の隙に右腕を掴んで止めた!下からのアングルで槍を引き抜くところ、メチャクチャかっこよかっただけに、急に右腕を掴んで止めたところには「ぅえ!?……」と声にならない声をあげちゃいましたね。ブレーザーの生存本能から来る、これ以上戦うな、という合図でしょうか。満身創痍のセブンに対し、セブン上司が「変身してはいかん!」と警告してウルトラアイを懐から取り上げるみたいな。ちょっと違うか。
またしてもでたらめな巨人と化したブレーザーに対し、「何……?また?」と困惑してるエミ隊員の感じもなかなか新鮮でしたが、単眼鏡でその様を確認して、真顔で「何やっているんだ……?」と、やはり困惑してるテルアキ副隊長の場面。超真面目なシーンなんだけど、思わず吹いちゃいましたね。宇宙怪獣という未曾有の危機を前に、ブレーザーもカラータイマーが点滅しだして危険信号出して、時間がないことを示しているのに、急に思いがけない行動に出る。僕らは意図が汲み取れるものの、ブレーザーのことが何も分かってない、敵か味方かも分からなくなってる現状、突然ああなったら、「何やっているんだ……?」ってなりますよね。
ゲバルガの雷撃に瞬時に応戦せんとするも、もうひとつの意思が彼を空へ引っ張り上げるのであった。ゲント隊長としては逃げたくない場面であったはずだが、ブレーザーとしてはゲント隊長の命を守りたい。例え、誤解を招こうとも……といった感じでしょうか。お互いに意思の疎通が出来ていればよかったのでしょうが。お互い理解もままならないまま成り行きで共に戦ってきたところがあるので、いずれはこうなっていたのでしょうけれども。寧ろ、今までよく戦ってこれたな、というか。
本来、自分の中に別の誰かを抱え込むというか、ひとつの身体にふたつの意思を共生させたらこうもなりますよね。そうやって思うと、自分と違う意思を3人も抱え込んでいた工藤ヒロユキ(『ウルトラマンタイガ』より)の凄さがよく分かりますね。とはいえ、トライスクワッドは意思の疎通が出来たしな。ありそうでやってなかったというか、これまでもあったけど、より深くに踏み込んだというか。ふたつの意思が反発しあう物語、どう着地するのか。非常に楽しみになってきました。
にしても、ニジカガチのときも事実上の敵前逃亡みたいな感じでしたけど、改めて「ウルトラマンが、逃げ、た……?」と言われると、なかなかショックですね。というか、サブタイトルの「エスケープ」ってそういう意味だったんですか。文字通り、ウルトラマンが逃亡するという。味方だと思ってた謎の宇宙人が、味方かどうか分からなくなり、更には未曾有の危機を放ったらかしにして逃げ出す。防衛チームから見たら、衝撃の展開ですよね。視聴者から観ても衝撃の展開ですけど。
それにしても、今回の作戦は、地球防衛隊日本支部司令部の源川稔司令官が、ハルノ参謀長のお手並み拝見と言わんばかりに参謀長の横で見てる状態で、ハルノ参謀長が編成したSKaRDもてんで役に立ってないどころか、事実上の作戦失敗。「作戦終了!ただちに次の作戦を立案しろ!」と命令を下して去っていく源川司令官の顔、怖かったですね。言われるがままで何も出来ない苛立ちを机にぶつける参謀長。SKaRDを編成したキレ者参謀長が、こうも上から役立たずみたいな目で見られたら、たまったものではないよな、と。しっかりしてよ、参謀長ー!!
そういえば、源川司令官役の川野太郎さんって、『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』のSRCのアカツキ隊長ですよね?もっと茶目っ気のある隊長さんって感じでしたけど、いかつく威圧感のある源川司令官とは似ても似つかないタイプだと思うんですが、役者さんって凄いですね。
そして、どこかに落とされたゲント隊長は、地に落ちたブレーザーストーンをなんとも言えない目で見つめるのであった。自分はどうなっても……なゲント隊長からすれば、自分の信念を否定されたかのような感じだし。「今日はホント頼むぞ……」と言ったそばからこれだからだいぶ恨めしいでしょうね。
しかし、手を伸ばせば届きそうで届かない位置に落ちてるストーンがだいぶ意味深というか。離れてしまった心の距離そのものというか。距離を感じればこそ、ここから揺るがぬ信頼を構築していくかと思うとワクワクしてきますね。このまま言ったら絶対に分かりあえないんだけど、分かりあえるからこそ新たな力を手にして、共に戦っていくのでしょうし。
そういえば偶然なんでしょうか。ゲバルガがEMPを発動する時、大きく腕を開いて上に伸ばし、腕を下に下げつつ、そのまま大きく腰を曲げる姿勢。なんかブレーザーの祈祷ポーズにどこか似ているような?片膝は上げてないですが。それに、赤と青のラインの走る身体。そうえいば、第1話のバザンガも赤と青なんですよね。偶然?
誰も止めるもののいないゲバルガの放ったEMPが街全体を飲み込んで、といったところで今回は終了。一体、この無法者をどうやって止めるのか。
S.H.Figuarts ウルトラマンレオの再販の日に、円盤生物のニューモデルがデビューしようとは誰も思わないじゃないですか。しかも、この令和の世に(他人の空似) 何者かに送り込まれたかのように地球目掛けて降りてきた上、巨大な隕石に擬態してとか、こいつが円盤生物じゃないなら誰が円盤生物なんですかみたいな。擬態するだけでなく空も飛ぶよ、ってなもんで。ただ、人喰ったり、溶かしたりしないので、或いは円盤生物ではないのかも?(基準そこ?
隕石に擬態して地球に降下しながらも、これを撃墜せんとする地球から攻撃は電磁攻撃で一切防いだり、多目的レーザーを避けてみせたり、生物であることを隠さないスタイル。間違いない、コイツは円盤生物だ(ぇ ウニだか、ヒトデだか、よく分からない、海の生き物っぽいスタイルもだいぶ円盤生物感溢れてると思うんですが。ああ、でもバザンガもエビだったしなあ。偶然かなあ。
ヤスノブ隊員役の梶原さんが太陽の塔みたいな見た目と仰っていて、そういう無機質な感じの、星から来た謎生物であって、ヒトデとかウニではないのかも?最初は体中に歯みたいなトゲが生えてるのも手伝ってオニヒトデかなあ、とか。
アンリ隊員操縦のアースガロンによる近接格闘でもびくともせず、電磁パルス(EMP)で攻撃を遮断するだけでなく、アースガロンも撃墜するほど。しかし、アースガロン。EMPの波に対して、空飛んで逃げたのは悪手だったかも。その方が早く逃げれるとはいえ。脚部にローラーダッシュつけて、高速移動が出来るように……なったとしても、EMPの範囲が広すぎるから追いつかれるか。
ブレーザーによる戦いにおいては、ブレーザー側が一見善戦にしているように見えたが、回転攻撃で吹き飛ばされてから完全にゲバルガ優勢になってるのがだいぶつらいところで。というか、ゲバルガが優勢になったタイミングで、ブレーザーのテーマが途切れて、M-5に劇伴が切り替わるところに震えました。あからさまにピンチな展開じゃないですか。頑張れ、ブレーザー!
ゲバルガの雷撃を避けながら、牽制光線で応戦するブレーザー。「ガンマンみたいでかっこいい!」と思ったんですが、1ミリも効いてないの悲しかったですね。今回、ブレーザーの挙動ひとつひとつがやたらかっこいいんですが、それが善戦に繋がってないのは悲しいですね。
でも、ホントにダッシュのフォームからの、横ジャンプ!で、空中での牽制光線連射はメチャクチャかっこよかった。こういうガンアクションは、辻本監督の十八番という印象ですが、武居監督がアクションで魅せるというのはなんか熱いですね。

開幕飛び膝蹴りとかも、メチャクチャかっこよかったし、高架下からのアングルもメッチャ冴えてるのに、よりによって攻撃が全く効かない強敵ってなもんだからおつらいところで。
腕に相当する部分と、頭に相当する部分に、歯みたいなのがついているので、両腕で挟み込むような攻撃をしただけで噛みつき攻撃になるのも嫌だけど、マウント取った上で頭と腕で食らいつき、覆いかぶさった状態で雷撃というなんとも嫌過ぎる攻撃をかましてくるのがなんとも。ゲバルガがザラザラしてて、粘っこい感じじゃないのが救いですが。アレでネバネバしてたらトラウマものですね。
マウント取って食らいついてくるゲバルガをなんとか引きはがそうと、必死に脚で応戦するブレーザー、カメラアングルもあってメチャクチャかっこよかったですね。いけー!ブレーザー!
ゲバルガを引きはがし、間合いを取ったところで、必殺のスパイラルバレードを発動!しかし、ゲバルガの張った電磁シールドによってガラス細工のように打ち砕かれるのであった。最近、工夫なく投擲するパターンのスパイラルバレードは効かないというのがお約束になってきましたね。バザンガに対して決め手になったアンダースローによるスパイラルバレードが完全に効かないというのは、初代『ウルトラマン』にて、スペシウム光線が効かない怪獣が現れたとき並みにショックですね。
その後、ブレーザーとゲント隊長の意思のせめぎ合いによって、ブレーザーが空に逃げるというかたちで戦いが終了してしまったため、今回はゲバルガの勝利というか、なんというか。ゲント隊長にとってもそうですが、SKaRDや、地球防衛隊にとっても、煮えきらないかたちで終わってしまいましたね。そして、野放しになったゲバルガは、どこかの基地と街に向かってEMPを放ち、すべての機能を停止させるのであった。
なんかアレですよね。『帰ってきたウルトラマン』のベムスター戦みたいですよね。突然やってきた初の宇宙怪獣を前に、スペシウム光線も、今までも技も一切効かないがゆえに敵前逃亡するしかなかったみたいな。で、独り戦う加藤隊長が絶体絶命のときに、セブンから貰ったウルトラブレスレットを引っ提げて帰ってきてさ。「ウルトラマンが……帰ってきた!」っていう。
『ブレーザー』で、それくらい熱いドラマが観られたら嬉しいなってところですが。でも、これってもう熱いドラマしか待ってないヤツじゃないですか。やっぱりのヒーローの負け回が面白いと、次がメチャクチャ楽しみになりますよね。
だから、昔からヒーロー作品は、負け回が大好きなんですよね。こんなんどうやって勝つんだ!?ってヤツほど燃えるというか。ただ、ブレーザーの攻撃はまったく効いてないけど、逃亡したから実質負けてないというのも不思議な感じですが。そうやって思うと、まだブレーザーってコテンパンにやられてってというのは無いんですよね。攻撃効かないは結構あるけど。
そういう視点で観ると、本当に生存本能に関してはやたら強いウルトラマンという感じですね。戦力そのものは他のウルトラマンの方が強そうではありますが。宇宙という自然の中で生きてきた狩人だから、生きることに長けるんでしょうね。
ハルノ参謀長が如何なる作戦を立案して、ゲバルガに再挑戦するのかも気になりますが、今回の戦いの衝撃で首を負傷して首用コルセット巻いてるのにもかかわらず、休む暇もないアンリ隊員が心配です。幾ら武道で鍛えているとはいえ。
そして、自分の意に反する行動を取るブレーザーに不信感を募らせたゲント隊長は、ブレーザーストーンを置いて任務へ。不信感MAXなゲント隊長が如何にして、今一度ブレーザーと共に戦うのか。ふたりを繋ぐただひとつの使命とは何か。
そして、その使命に手を伸ばす強固な意志は、一体何を掴むのか……
次回の『ウルトラマンブレーザー』 第12話「いくぞブレーザー!」。遂に登場、雷をも断つ剣、チルソナイトソード!。如何にしてその剣を手にするのか。とても気になるわけですが。予告の段階で、超かっこいいんですが。ブレーザーが、こんなに刀が似合うウルトラマンだったとは。
そして、サブタイトルですよ。ブレーザーに不信感を募らせたゲント隊長が今一度、”それ”を叫ぶ瞬間とか熱いこと間違いなしだし、どんなドラマをもってそれを叫ぶのか。超楽しみで。『ウルトラマンオーブ』辺りからの折り返し地点のお話って、毎回面白いですけど、そのサブタイトルからして、なかなかどうして超傑作になりそうじゃないですか。
でも、変に期待値あげるとアレなんで、フラットに行きましょう。フラットに。ああ、早く次の話観てええ……
©円谷プロ
©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京

第11話「エスケープ」[2023年9月23日放送]
脚本:足木淳一郎 監督:武居正能
最近、暇があるとガラモンのソフビと、東京タワーのミニチュアを並べて遊んでます。仕事から疲れて家に帰っても、「家に帰ればガラモンいるしなあ」って思えますし。嫌なことを言われたとしても、「そんなこと言っていいのか?俺の家にはガラモンがいるんだぞ?ガラモンだぞ。ガラダマモンスターぞ。」と思えるのは強いですね。ペットかよ。それはともかくとして、やっぱり好きな怪獣のソフビが発売されるのって嬉しいなって改めて思いましたね。
子供の頃は、あまり怪獣ソフビ買ってもらえなかったというか。玩具を買ってもらえる機会というが、基本誕生日とクリスマスのみで。無理言って買ってもらった際には、誕生日かクリスマスのプレゼントを前借りというかたちなってしまうので、よく吟味する必要があったのと、どちらの機会においても、1回の機会に1個までというルールもあって。
玩具の中では比較的安価な怪獣ソフビよりは、より高価なロボットアニメのロボット玩具とか、車のラジコンとか、ヒーロー作品の武器玩具とかを買ってもらった方がいいんじゃないかと。そうやって思うと、打算的というか、可愛げのない子供だったなって。
お小遣いも決してたくさん貰えてた訳では無いし、誕生日とクリスマス以外で玩具欲しかったら、自分でこつこつお小遣いを貯めて買いなさいという方針でしたし。世の中お菓子とか誘惑も多いので、ソフビに回す余裕はやはりなくて。ウルトラマンのソフビも、レオとグレートくらいしか持てなかったなあ、と。小学4年か、5年生のときに家の建て直しがあって、その際に幼い頃の玩具は処分されてしまったので、それらも今や手元にないですが。
子供の頃手に入らなかった反動も勿論あるんですが、安価なソフビであれば、毎月少しの余裕を作れば全然買える。悩まなくていい。というのは強いですね。増えると置き場も大事になってきますが、タグを切らなければフックを流用できるので、部屋のいたるところに引っ掛けて飾れるのも強みですね。ちょっと本棚の空きスペースに置くのもありだなとか。
前々から、レイモンド・チャンドラーの本の棚に、怪獣のチャンドラーを置きたいとか考えてるんですが、それを実現させて、「こいつは何をやっているのだ?」と、自己嫌悪に陥らないか心配でなかなか実現できてないのがアレですね。
でも、なんかテーマ性のある棚とか作りたいですよね。ジオラマじゃないですけど。
■それはゲントの生命を救うため?まさかのブレーザーの敵前逃亡に、困惑の第11話

『ウルトラマンデッカー』の武居正能監督と、足木淳一郎先生コンビが手掛ける第11話。と、言っても武居監督は、『デッカー』のときにはもうひとりのシリーズ構成の根元先生と組んでたから、足木先生とは組んでなくて。それこそ、この2人が組むのって、もしや『ウルトラマンオーブ』第13話「心の大掃除」以来?そうやって思うと、なんか新鮮な感じしますね。
それはそれとして、『ウルトラマンブレーザー』も恐怖の円盤生物シリーズへ!エンディングテーマの『BLACK STAR』ってそういうことだったんですね……って、そんなはずもなくてですね。でも、宇宙からとんでもなくヤバいヤツが飛来してくるって、なんでこんなにワクワクしてくるんでしょうね。『ウルトラマンレオ』の再放送で円盤生物の襲来と、『ウルトラマンG』のリアルタイム世代で、シラリーの降臨を目撃しているのもあるんでしょうかね。

ガラモンを載せたガラダマの侵入を許してしまったがゆえに、より強い警戒態勢をはって迎撃していたのにもかかわらず、電磁パルスによってすべての攻撃を寄せ付けない謎の隕石の地球侵入を許してしまい、その隕石が実は宇宙からやってきたとんでもない怪獣で……。って、こんなにワクワクしてくるシチュエーションもないですね。

そんな中で、自分の中にあるもうひとつの意思。自分の行動に反発するブレーザーの意思に困惑し、疑念をふくらませるゲント隊長。ウルトラマンとの意思の疎通が出来てないからこそ、自分の思惑と異なる動きに疑いを持ってしまうというのは、これまでなかったパターンで、新鮮ですね。こういうシチュエーションを観ると、やっと『ウルトラマンブレーザー』らしさに火がついてきたありますね。
ウルトラマンと、変身者。それぞれ違う人格があり、考えが異なるがゆえに意見が対立するというシチュエーションは、それこそ『ウルトラマンG』の頃からしてありましたけれども。意見の対立があっても、人間社会ではジャックの意見を尊重し、怪獣退治においてはグレートの意見を尊重し、更に強大な相手には力を合わせて立ち向かえたのは、意思の疎通が可能だったからというのもあるんだろうな、と。

ブレーザーが何を考えて、何故力を貸してくれるのか。本当に心をひとつにできたときに、きっと知ることが出来るんでしょうけれど。現状のゲント隊長にそれを知る手段はない。ゆえに、疑念を抱かざるを得ない。そういう硬派なドラマを展開するときに、武居監督を当番に選んだのはナイスな采配じゃないかと言わざるを得ないというか。
運命共同体であればこそ、幾多の疑いを重ねて、厚い信頼を築いていく。バディものの鉄板ですよね。他者のことを、いきなりすべて信じられるなんて、あり得ないですし。その辺りをメチャクチャ丁寧に描いてくださって、有り難い限りでした。

ブレーザーとゲント隊長の関係性は、ふたりを繋ぐただひとつの使命がなんとかしてくれるにしても、あのテルアキ副隊長にして、「我々の味方とは限らなくなってきたな」とか、ブレーザーへの疑念を持ち始めてる状況。あからさまに防衛隊の作戦を妨害してますしね。
第一にテルアキ副隊長がそういう姿勢でブレーザーを観てくれたのは逆に嬉しかったですけどね。これまでは”味方”として判断してきてたんだな、というのもそうですけど。作戦立案などを行うテルアキ副隊長はあらゆる可能性を考慮してこそというか。
「SKaRDとしてはブレーザーが現れたとき、味方と認識しますか?」というテルアキ副隊長の問いに、「まあ、様子見だな」と煮えきらない態度を取るゲント隊長のらしくなさには、みんな困惑してましたが。特に、エミ隊員は眉をひそめてましたしね。ここまではっきりしてないゲント隊長も珍しいですしね。

確かに、自分の中にいることは認識できるものの、意思など何も分からない相手に対しての、隠せないほどの戸惑いを覚え、思わずアンリ隊員に相談しそうになって留まったり、どう向き合えばいいのか分からなくなっている。
そんなときに確かなことは何も言えないのは当然で。こんな弱気のゲント隊長も珍しいですけどね。如何なるときも前に進む隊長だから余計に。こういう『ウルトラマンブレーザー』の独自性のあるドラマ展開は、より作品を魅力的にしてくれますね。
話せる相手なら話せばいい訳ですし。話せる相手ではないからこそ、拗れる訳で。そして、ゲント隊長を襲う孤独。なんやかんやで相談相手やバディがいるケースが多かったニュージェネウルトラマンと思うと、隊長であるがゆえに誰にも相談できない。家族にも相談できない。珍しいタイプの孤独を抱えてますよね。ゲント隊長。ウルトラマンご本人様が背負う孤独とも違うし、ウルトラマンと共生する融合タイプの人たちが背負う孤独とも違うし。

それにしても、射撃による迎撃作戦で、アースガロンの操縦士がアンリ隊員って意外だなあと思いましたが、その後の迎撃に失敗した際の近接戦闘を想定しての采配だったんだなあ、と。
それにしても、収束モードの多目的レーザーで隕石を狙う際の、「プレッシャーかける訳じゃないけど……はずすなよ!」というゲント隊長に、「しっかり、プレッシャーかけていただいて、有難うございます!」と笑顔で応えるアンリ隊員のやりとりよかったですね。それまで険しい顔してたアンリ隊員が、前向きな表情になるのがとてもよかったです。あのくだりは、今回のベストシーンですね。
とはいえ、ハルノ参謀長指揮の下、密かに建造された地球防衛隊の秘密兵器アースガロンが、もはや防衛隊の一大作戦の足止め要員としてしか扱われてない状況はどう見ればいいんでしょうかね。アースガロンでは怪獣は倒せない。そう見られてる?

一応、宇宙怪獣想定で作戦が組まれているとはいえ、隕石がレーザーを避けるわ、いきなり減速して着陸するわ。とか吃驚しますよね。そして、開かれる隕石。本来ならば顔のあるべきところに顔がなく、土手っ腹に顔があって、無機質にリレー発光する謎の発光器官があって……あからさまに地球の生き物感ゼロの宇宙怪獣、いいですねえ。寧ろ、機械的で、生物兵器感すらあるというか。誰かに送られてきたか?黒幕的な誰かに……?

CQCモードのアースガロンの格闘攻撃になすすべもなくという感じで、間合いに入ってしまえば思ったより大したことないのか?と思えば、いきなりの電磁攻撃で間合いを開けられ、更に電磁パルス(EMP)であらゆる攻撃を遮断。アースガロンさえも、EMPの中に巻き込み、機能停止に追い込むという。機械的な道具に頼ることでしか戦えない。或いは生きていけない人間からすれば、EMPとか脅威中の脅威ですよね。迫ってくるEMPの波に飲まれないように、必死に逃げようとするアースガロンの場面は手に汗握りましたね。

なにかの電気信号みたいなゲバルガの鳴き声が響く中、ゲント隊長とアンリの安否を気遣って、必死にSKaRD MOPから通信を送るテルアキ隊長かっこよかったですね。アースガロンがEMPを浴びて全システムダウンだけならばまだしも、水深不明の湖に落下してますからね。アースガロンのダメージ状況によっては、搭乗者の溺死も考えうるパターンですし。なかなか緊張感を煽る場面でした。

機能停止状態のアースガロンの中で目覚めるゲント隊長と、気絶したままのアンリ隊員。前にもこんなシチュエーションあったような……?下手にコックピットハッチ開けたら、湖の水が一気にコックピットに流れ込むだけに、首裏の緊急起動装置を起動させに行けない。さて、どうする?すると、作戦を必死に考えるゲント隊長の左腕にブレス出現。
「この状況じゃ、これしかないか……」と、なんかブレーザーの力を頼ること自体が、苦肉の策みたいになってるのがなんともで。頼っていい相手なのかどうなのか分からないけど、今打てる手がそれしかない以上、という感じですかね。

そして、登場。我らのウルトラマンブレーザー。急降下キックからの祈祷ポーズがとてもかっこよかったですね。やはり岩田さんは蹴りのフォームがかっこいいんだ。『ウルトラマンギンガS』のウルトラマンビクトリーの頃からして、蹴りが冴えてる感じでしたけれども。ブレーザーの蹴りはホントかっこいいですよ。うん。

しかし、このゲバルガ、ブレーザーの格闘攻撃をものともせず。更に、隕石形態で電磁攻撃をまといながらの回転体当たりで、ブレーザーを圧倒。電磁シールドで飛び道具系はすべて弾く。勝ち目あるんでしょうか?ってくらい攻防一体の隙のない怪獣でどうしたものか。

更には、必殺のスパイラルバレードも、電磁シールドによって完全に打ち砕かれる始末。光線系の必殺技だったら、シールドを砕くまで撃ち続けるという方法もあったでしょうが、投擲技だと投げたものを砕かれたり、焼かれたりするとそこで終了。相手に届かないというのは結構痛いですよね。それでいて、投擲したあとの無防備なブレーザーに雷撃をかましてくるという。

カラータイマーが悲鳴をあげ、限界間近ながらも、それでも立ち上がり、ゲバルガの前に立ちふさがるのはゲント隊長の闘志ゆえか。自分の命を軽視している訳でははないのだろうが、誰かを守ることとなると自分の命より優先するものがあるとして向かってしまうところはゲント隊長そのものというか。
前回と今回の一件で、変身時にどこまでゲント隊長の意思で動いてて、どこまでブレーザーの意思で動いているのか、余計に分からなくなったけれども、ここの動きは或いは……みたいな推測は出来るようになったかも。にしても、フラフラな身体を必死に起こして、ファイティングポーズを取り直す姿はメチャクチャかっこいいッスね……

ただ、立ち向かおうとするゲントの意思に反して、ブレーザーは突然自分の右腕を掴み、まるで転がってくるゲバルガから逃げろと言わんばかりに横に引っ張ってこれを回避。まさかブレーザーの意思が、ゲント隊長を庇った?

突然の左手の暴走に困惑するブレーザー。この困惑してるのはゲント隊長だな、と分かる訳ですが。このとき、ゲント隊長はある瞬間のことを思い出す。ゲバルガがEMPを放たんと電磁エネルギーをチャージしてたときのこと。「今すぐ離脱しろ!いいから反転だ!全速離脱!」と、アンリ隊員に命令をするところ。
嫌な予感がするにしても、このときのゲント隊長は異様に感情的だなと思っていたら、まさかゲント隊長の身体を通して、ブレーザーが命令を下していた? あそこでブレーザーの顔が、ゲント隊長に重なるのはそういう演出ですよね?となると、ブレーザー、言葉喋れたんですね。
というか、いつぞやのインナースペースの中での対話で、ゲント隊長の言葉を理解してただけに、肉体の制御が出来ればといったところでしょうか。しかし、驚きの描写です。それを思うと、これまでのゲント隊長もどこまでゲント隊長の意思で喋ってたのか……?

我に返ったブレーザーは、今一度光の槍を抜き、スパイラルバレードを……。投げる一瞬の隙に右腕を掴んで止めた!下からのアングルで槍を引き抜くところ、メチャクチャかっこよかっただけに、急に右腕を掴んで止めたところには「ぅえ!?……」と声にならない声をあげちゃいましたね。ブレーザーの生存本能から来る、これ以上戦うな、という合図でしょうか。満身創痍のセブンに対し、セブン上司が「変身してはいかん!」と警告してウルトラアイを懐から取り上げるみたいな。ちょっと違うか。

またしてもでたらめな巨人と化したブレーザーに対し、「何……?また?」と困惑してるエミ隊員の感じもなかなか新鮮でしたが、単眼鏡でその様を確認して、真顔で「何やっているんだ……?」と、やはり困惑してるテルアキ副隊長の場面。超真面目なシーンなんだけど、思わず吹いちゃいましたね。宇宙怪獣という未曾有の危機を前に、ブレーザーもカラータイマーが点滅しだして危険信号出して、時間がないことを示しているのに、急に思いがけない行動に出る。僕らは意図が汲み取れるものの、ブレーザーのことが何も分かってない、敵か味方かも分からなくなってる現状、突然ああなったら、「何やっているんだ……?」ってなりますよね。

ゲバルガの雷撃に瞬時に応戦せんとするも、もうひとつの意思が彼を空へ引っ張り上げるのであった。ゲント隊長としては逃げたくない場面であったはずだが、ブレーザーとしてはゲント隊長の命を守りたい。例え、誤解を招こうとも……といった感じでしょうか。お互いに意思の疎通が出来ていればよかったのでしょうが。お互い理解もままならないまま成り行きで共に戦ってきたところがあるので、いずれはこうなっていたのでしょうけれども。寧ろ、今までよく戦ってこれたな、というか。
本来、自分の中に別の誰かを抱え込むというか、ひとつの身体にふたつの意思を共生させたらこうもなりますよね。そうやって思うと、自分と違う意思を3人も抱え込んでいた工藤ヒロユキ(『ウルトラマンタイガ』より)の凄さがよく分かりますね。とはいえ、トライスクワッドは意思の疎通が出来たしな。ありそうでやってなかったというか、これまでもあったけど、より深くに踏み込んだというか。ふたつの意思が反発しあう物語、どう着地するのか。非常に楽しみになってきました。

にしても、ニジカガチのときも事実上の敵前逃亡みたいな感じでしたけど、改めて「ウルトラマンが、逃げ、た……?」と言われると、なかなかショックですね。というか、サブタイトルの「エスケープ」ってそういう意味だったんですか。文字通り、ウルトラマンが逃亡するという。味方だと思ってた謎の宇宙人が、味方かどうか分からなくなり、更には未曾有の危機を放ったらかしにして逃げ出す。防衛チームから見たら、衝撃の展開ですよね。視聴者から観ても衝撃の展開ですけど。

それにしても、今回の作戦は、地球防衛隊日本支部司令部の源川稔司令官が、ハルノ参謀長のお手並み拝見と言わんばかりに参謀長の横で見てる状態で、ハルノ参謀長が編成したSKaRDもてんで役に立ってないどころか、事実上の作戦失敗。「作戦終了!ただちに次の作戦を立案しろ!」と命令を下して去っていく源川司令官の顔、怖かったですね。言われるがままで何も出来ない苛立ちを机にぶつける参謀長。SKaRDを編成したキレ者参謀長が、こうも上から役立たずみたいな目で見られたら、たまったものではないよな、と。しっかりしてよ、参謀長ー!!
そういえば、源川司令官役の川野太郎さんって、『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』のSRCのアカツキ隊長ですよね?もっと茶目っ気のある隊長さんって感じでしたけど、いかつく威圧感のある源川司令官とは似ても似つかないタイプだと思うんですが、役者さんって凄いですね。

そして、どこかに落とされたゲント隊長は、地に落ちたブレーザーストーンをなんとも言えない目で見つめるのであった。自分はどうなっても……なゲント隊長からすれば、自分の信念を否定されたかのような感じだし。「今日はホント頼むぞ……」と言ったそばからこれだからだいぶ恨めしいでしょうね。
しかし、手を伸ばせば届きそうで届かない位置に落ちてるストーンがだいぶ意味深というか。離れてしまった心の距離そのものというか。距離を感じればこそ、ここから揺るがぬ信頼を構築していくかと思うとワクワクしてきますね。このまま言ったら絶対に分かりあえないんだけど、分かりあえるからこそ新たな力を手にして、共に戦っていくのでしょうし。

そういえば偶然なんでしょうか。ゲバルガがEMPを発動する時、大きく腕を開いて上に伸ばし、腕を下に下げつつ、そのまま大きく腰を曲げる姿勢。なんかブレーザーの祈祷ポーズにどこか似ているような?片膝は上げてないですが。それに、赤と青のラインの走る身体。そうえいば、第1話のバザンガも赤と青なんですよね。偶然?
誰も止めるもののいないゲバルガの放ったEMPが街全体を飲み込んで、といったところで今回は終了。一体、この無法者をどうやって止めるのか。
■宇宙電磁怪獣ゲバルガ

S.H.Figuarts ウルトラマンレオの再販の日に、円盤生物のニューモデルがデビューしようとは誰も思わないじゃないですか。しかも、この令和の世に(他人の空似) 何者かに送り込まれたかのように地球目掛けて降りてきた上、巨大な隕石に擬態してとか、こいつが円盤生物じゃないなら誰が円盤生物なんですかみたいな。擬態するだけでなく空も飛ぶよ、ってなもんで。ただ、人喰ったり、溶かしたりしないので、或いは円盤生物ではないのかも?(基準そこ?

隕石に擬態して地球に降下しながらも、これを撃墜せんとする地球から攻撃は電磁攻撃で一切防いだり、多目的レーザーを避けてみせたり、生物であることを隠さないスタイル。間違いない、コイツは円盤生物だ(ぇ ウニだか、ヒトデだか、よく分からない、海の生き物っぽいスタイルもだいぶ円盤生物感溢れてると思うんですが。ああ、でもバザンガもエビだったしなあ。偶然かなあ。
ウルトラマンブレーザー第11話
— 梶原颯 (@kajikajihaya) September 23, 2023
ご視聴ありがとうございました!
太陽の塔みたいな見た目して
強すぎるやろゲバルガ!!
しかも電磁パルス?放ってくるとかどうすればええんや💪😂
ブレーザーも飛んでっちゃうし
アンリさんと隊長無事やといいけど、、
見逃し配信↓https://t.co/m4e5uNUpdT… pic.twitter.com/MV3mUfaYzH
ヤスノブ隊員役の梶原さんが太陽の塔みたいな見た目と仰っていて、そういう無機質な感じの、星から来た謎生物であって、ヒトデとかウニではないのかも?最初は体中に歯みたいなトゲが生えてるのも手伝ってオニヒトデかなあ、とか。
アンリ隊員操縦のアースガロンによる近接格闘でもびくともせず、電磁パルス(EMP)で攻撃を遮断するだけでなく、アースガロンも撃墜するほど。しかし、アースガロン。EMPの波に対して、空飛んで逃げたのは悪手だったかも。その方が早く逃げれるとはいえ。脚部にローラーダッシュつけて、高速移動が出来るように……なったとしても、EMPの範囲が広すぎるから追いつかれるか。

ブレーザーによる戦いにおいては、ブレーザー側が一見善戦にしているように見えたが、回転攻撃で吹き飛ばされてから完全にゲバルガ優勢になってるのがだいぶつらいところで。というか、ゲバルガが優勢になったタイミングで、ブレーザーのテーマが途切れて、M-5に劇伴が切り替わるところに震えました。あからさまにピンチな展開じゃないですか。頑張れ、ブレーザー!

ゲバルガの雷撃を避けながら、牽制光線で応戦するブレーザー。「ガンマンみたいでかっこいい!」と思ったんですが、1ミリも効いてないの悲しかったですね。今回、ブレーザーの挙動ひとつひとつがやたらかっこいいんですが、それが善戦に繋がってないのは悲しいですね。
でも、ホントにダッシュのフォームからの、横ジャンプ!で、空中での牽制光線連射はメチャクチャかっこよかった。こういうガンアクションは、辻本監督の十八番という印象ですが、武居監督がアクションで魅せるというのはなんか熱いですね。

開幕飛び膝蹴りとかも、メチャクチャかっこよかったし、高架下からのアングルもメッチャ冴えてるのに、よりによって攻撃が全く効かない強敵ってなもんだからおつらいところで。

腕に相当する部分と、頭に相当する部分に、歯みたいなのがついているので、両腕で挟み込むような攻撃をしただけで噛みつき攻撃になるのも嫌だけど、マウント取った上で頭と腕で食らいつき、覆いかぶさった状態で雷撃というなんとも嫌過ぎる攻撃をかましてくるのがなんとも。ゲバルガがザラザラしてて、粘っこい感じじゃないのが救いですが。アレでネバネバしてたらトラウマものですね。

マウント取って食らいついてくるゲバルガをなんとか引きはがそうと、必死に脚で応戦するブレーザー、カメラアングルもあってメチャクチャかっこよかったですね。いけー!ブレーザー!

ゲバルガを引きはがし、間合いを取ったところで、必殺のスパイラルバレードを発動!しかし、ゲバルガの張った電磁シールドによってガラス細工のように打ち砕かれるのであった。最近、工夫なく投擲するパターンのスパイラルバレードは効かないというのがお約束になってきましたね。バザンガに対して決め手になったアンダースローによるスパイラルバレードが完全に効かないというのは、初代『ウルトラマン』にて、スペシウム光線が効かない怪獣が現れたとき並みにショックですね。

その後、ブレーザーとゲント隊長の意思のせめぎ合いによって、ブレーザーが空に逃げるというかたちで戦いが終了してしまったため、今回はゲバルガの勝利というか、なんというか。ゲント隊長にとってもそうですが、SKaRDや、地球防衛隊にとっても、煮えきらないかたちで終わってしまいましたね。そして、野放しになったゲバルガは、どこかの基地と街に向かってEMPを放ち、すべての機能を停止させるのであった。

なんかアレですよね。『帰ってきたウルトラマン』のベムスター戦みたいですよね。突然やってきた初の宇宙怪獣を前に、スペシウム光線も、今までも技も一切効かないがゆえに敵前逃亡するしかなかったみたいな。で、独り戦う加藤隊長が絶体絶命のときに、セブンから貰ったウルトラブレスレットを引っ提げて帰ってきてさ。「ウルトラマンが……帰ってきた!」っていう。
『ブレーザー』で、それくらい熱いドラマが観られたら嬉しいなってところですが。でも、これってもう熱いドラマしか待ってないヤツじゃないですか。やっぱりのヒーローの負け回が面白いと、次がメチャクチャ楽しみになりますよね。
だから、昔からヒーロー作品は、負け回が大好きなんですよね。こんなんどうやって勝つんだ!?ってヤツほど燃えるというか。ただ、ブレーザーの攻撃はまったく効いてないけど、逃亡したから実質負けてないというのも不思議な感じですが。そうやって思うと、まだブレーザーってコテンパンにやられてってというのは無いんですよね。攻撃効かないは結構あるけど。
そういう視点で観ると、本当に生存本能に関してはやたら強いウルトラマンという感じですね。戦力そのものは他のウルトラマンの方が強そうではありますが。宇宙という自然の中で生きてきた狩人だから、生きることに長けるんでしょうね。
■次回予告
ハルノ参謀長が如何なる作戦を立案して、ゲバルガに再挑戦するのかも気になりますが、今回の戦いの衝撃で首を負傷して首用コルセット巻いてるのにもかかわらず、休む暇もないアンリ隊員が心配です。幾ら武道で鍛えているとはいえ。
そして、自分の意に反する行動を取るブレーザーに不信感を募らせたゲント隊長は、ブレーザーストーンを置いて任務へ。不信感MAXなゲント隊長が如何にして、今一度ブレーザーと共に戦うのか。ふたりを繋ぐただひとつの使命とは何か。
そして、その使命に手を伸ばす強固な意志は、一体何を掴むのか……
次回の『ウルトラマンブレーザー』 第12話「いくぞブレーザー!」。遂に登場、雷をも断つ剣、チルソナイトソード!。如何にしてその剣を手にするのか。とても気になるわけですが。予告の段階で、超かっこいいんですが。ブレーザーが、こんなに刀が似合うウルトラマンだったとは。
そして、サブタイトルですよ。ブレーザーに不信感を募らせたゲント隊長が今一度、”それ”を叫ぶ瞬間とか熱いこと間違いなしだし、どんなドラマをもってそれを叫ぶのか。超楽しみで。『ウルトラマンオーブ』辺りからの折り返し地点のお話って、毎回面白いですけど、そのサブタイトルからして、なかなかどうして超傑作になりそうじゃないですか。
でも、変に期待値あげるとアレなんで、フラットに行きましょう。フラットに。ああ、早く次の話観てええ……
©円谷プロ
©ウルトラマンブレーザー製作委員会・テレビ東京